「しゃべれどもしゃべれども」で知る笑いの緊張と緩和

普段はビジネス書や政治、歴史ものなどを読むことから、時折、軽快で明るい小説を読みたくなります。 その中でまず真っ先に思い浮かんだのが、佐藤多佳子さんの「しゃべれどもしゃべれども」です。 話しは割とシンプルです。 主人公は二ツ目落語家である今昔亭三つ葉。 人とのコミュニケーションや、話し下手な人間が自分を克服するために主人公の元に落語を習いにくる、というお話なのです。 出てくる人物が実にイキイキと描かれていて、ゲラゲラと笑いながら読んでいました。 主人公の元を訪れる人物は4人。 対人恐怖症で仕事を辞めざるを... Read More

見えない貌 夏樹静子

出会い系サイトとネット社会、裁判の行方で事件が様々な方向に展開する推理小説です。 文庫本で600頁を越えるのですが、一気に読み進められた作品です。心が通じ理解し合っていると思ってた24歳の娘、結婚して3年目で幸せな家庭生活を築いている疑わなかった娘。こまめなメールで情報交換が続いていて、本当に親孝行な娘だったのです。 そんな娘が行方不明の末、ダムに沈められた刺殺死体となって発見されます。母親は、普段使用していた携帯電話とは違う隠された携帯メールから娘の本当の貌を知り愕然とします。警察には届け出ず、娘の携帯... Read More

金持ち父さん貧乏父さんという本が私の概念を変えた

私の人生において一番、良い意味で衝撃的であったのが「金持ち父さん貧乏父さん」という作品です。 この本の内容としては簡単に言ってしまうとお金持ちになるためにはお金に対してどのような考え方であったり、もっと言ってしまえば、どうすれば一番効率よくお金を生み出すことができるのかについて書かれていました。 この作品を読む前の私の考えとしては単純にこの世界は働いた分(時間)でお金がもらえるという仕組みであると思っていました。しかし、この作品を通じてお金がお金を生むということを学び、単純に働く以外にも稼ぐ方法がしっかり... Read More

日常に溶け込む超常現象ー家守奇譚を読んでー

何だか訳の分からない奇妙な本に出会ってしまった。一応、私なりの褒め言葉である。  あらすじ―駆け出しの物書きである綿貫征四郎はふとしたきっかけから、既に故人となった学友・高堂の生家の管理を任される。とある風雨の日、綿貫の元へ高堂が突然訪ねてきた。その日を皮切りに、綿貫と浮世離れした物の怪や植物たちとの邂逅が始まった。  通常では起こり得ない、奇怪な出来事がまるで当たり前のことように描写されているが、それらは不思議と違和感無く日常風景に溶け込んでいた。物の怪たちが平和な暮らしを送る綿貫にごく自然に接近し、彼... Read More

『コンビニ人間』には衝撃をうけつつも納得する部分が多々ありました

村田紗耶香さんの『コンビニ人間』を読みました。このパサついた都会的な題名に、正直なところ読もうかどうか迷っていました。でも読んでみて、思っていた内容とはかなり違い、現代社会の鋭い描写に驚きました。 最も印象に残ったのは、主人公の恵子がバーベキューパーティーで、独身でアルバイトの身であることで浮いてしまうシーンです。結婚して子供がいるか、仕事が忙しいか…のどちらでもないことで、とても不愉快な扱いを受けます。こういうシーン、世の中のあちこちで繰り広げられているのではないでしょうか。 私は同窓会も同... Read More

「日暮旅人の探し物」は今まで考えもしなかった視点からみた内容

探偵日暮旅人の小説はシリーズ化されています。そのなかの1作目である日暮旅人の探し物では日暮旅人という主人公が様々なもの、思い、人を結びつけ最後は全員が笑顔になれる物語となっています。 日暮旅人は過去のある事件をきっかけに視覚以外の聴覚や触覚、味覚や嗅覚がありません。まずここからしても今まで考えもしなかった視点から描かれている小説だと思います。 普通は視覚だけない、味覚がない、というような視点から描かれる作品が多い中、視覚以外のすべてがないとは斬新かつ新鮮な感じを受けました。 視覚といっても全てが見えるわけ... Read More

霊感少女の心温まる成長を描いた長編作品キーリ

壁井ユカコ様作のキーリという長編小説は大変面白い作品です。 文庫より発刊されております。タイトルのキーリは霊感を持つ少女の名前となっております。 この霊感少女のキーリは学校へ通っていますがある日をきっかけに霊が見える青年ハーヴェイとしゃべるラジオの兵長と出会い、一緒に旅をしていく話です。 キーリはまだまだ無鉄砲なところがある少女で、それが故に色々事件に巻き込まれてしまうことも多々あります。 最初はそれが面倒だと思っていた青年でしたが次第に心配という感情に代わっていき、少女の成長を目の当たりにして複雑な思い... Read More

スリルを求める方には雫井脩介「火の粉」がおすすめ

雫井脩介さんの火の粉、こちらの作品は、ユースケ・サンタマリアさんが主演で、テレビドラマ化され話題になりました。 わたしもテレビドラマをみていましたが、ドラマと原作は内容が少々異なるようです。ドラマしか知らない方には、ぜひ原作も読んでいただきたいと思います。 ある一家を惨殺した容疑をかけられた男。その男は裁判で、証拠不十分なことから無罪と判決を下されました。 その無罪判決を下した裁判官の隣の家に、事件の容疑者となった男が引っ越してくるところから物語が始まります。 自ら無罪判決を下したにも関わらず、その男にど... Read More

夢野久作の「ドグラ・マグラ」は夢中で読みました。

昨年、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読みました。 面白くって、夢中で読みました。 江戸川乱歩の好きな私は、その江戸川乱歩が好きな作家の本にも興味があるので、読んでみたんですが、それまでには読んだ事のないような、冒頭から異様な文章で、すごく面白かったです。 精神病院の部屋で目覚めた青年の描写から始まり、隣室の少女の声、青年の過去の記憶、謎に包まれた精神病院の教授、かなり古く過去に遡って、因縁の遺伝や家系にまつわるストーリ-が展開されます。 映画にもなりました。なかなかよくできていました。 江戸川乱歩の不気味... Read More

『ゴーン・ガール』 原作・ギリアン・フリン

私はまずは注目されていた映画から見たんですが、じっと映画を大人しく見続ける事ができない私も2時間もする映画を大人しくいっきに見てしまいました。デビッド・フィンチャーの映像の魅力もありますでしょうが。 そして映画を見終わった後にすぐに原作を読みましたが、映画では描かれていない細かな描写もあり、ギリアン・フリンのするどい人間描写に引きこまれてすごく面白かったのでいっきにギリアン・フリンのファンになってしまい、作者が過去に書いた冥闇とkizu傷も読みました。 主なストーリーは冷め切っていた夫婦の妻のエイミーが突... Read More