いとうせいこう「想像ラジオ」で知った3.11

私のおすすめの一冊は、いとうせいこう著作「想像ラジオ」です。「想像ラジオ」は、読み手に語りかけるような、まさに、ラジオを聴いているような気持ちになれる文体です。たわいのない会話から始まるラジオですが、ただのラジオではなく、そこには時間も日にちも関係の無い、特別な場所から流れていることが、示唆されます。

そして、本を読み進めているうちに、その物語が、東北大震災と関係していることがわかります。

物語は、亡くなってしまった人、生きている人の交互の想いを吐露するように進んでいくのですが、そのふたつすらも、どんどん曖昧になっていき、とても不思議だけれど、純粋で、クリアな気持ちになっていきます。

亡くなった人たちも、どこかでラジオを聴いているのかな……そう思うと、読後、自然と気持ちが軽くなりました。

最初から最後まで、あえて涙を誘うような表現は文中にありませんが、気づくと胸が熱くなり、なんども涙を流してしまいました。

仏像巡りを趣味とし、仏教を学んでいる、いとうせいこうだからこそ、表現できる世界観なのではないかと、感じます。

何度でも読みたくなり、また、読み返す浅場に新しい発見のある、人生において特別な一冊になること間違いなしの小説です。