れんげ荘を読んで心穏やかに。

本屋さんでブラブラしていたところ目についたのが群ようこ著の、れんげ荘という小説の月10万で楽しく暮らそうという帯の文字でした。

私は既婚者なので、夫のおかげでお金に何の心配もない生活をしているのですが、そのぶん夫への不満やその家族へのしがらみなどで息苦しくなっていました。
そんな時この小説を読んで、何となく気分が楽になりました。

私のように40歳も過ぎていて主婦歴が長いと、もう外で働くという事はできないしここで生きていくという道しかないのだという八方ふさがりな気持ちだったのですが、主人公が同世代ということと、やろうと思えば、月10万円で暮らせることが、この小説を読んでわかり道は他にないわけではないのだと思いました。

そして貧乏生活と言っても、けして悲壮感ただようものではなく、誰にも縛られず、心穏やかに淡々と暮らしている様子を読んでいて私自身も、気持ちが楽になったと同時に心穏やかになりました。

この主人公も、この穏やかな生活を手に入れるためにいろいろなものを捨てたのです。
優雅な一軒家での母親との暮らしや、高給な一流会社勤務。
それだけ見ればもったいないと思うのですが、確執のある母親との息の詰まるような暮らしや人間関係に気を使い、自由な時間も少ない仕事中心の生活。

お金がいくらあっても、心が穏やかでなければだめなのだと思いました。

40代ひとり人暮らしというと、お金の不安のほかにも孤独で寂しいのではないかという心配もありますが、主人公が選んだアパートが、築40年以上のボロアパート。
ここでは隣に誰が住んでいるかわからないという都会のマンションとちがってアパート内に住む人たちとの交流もあります。
そこに住む人たちとのほのぼのエピソードも書いてあるのですが付かず離れずな関係で、困ったときには助け合うという良い関係で孤独感はあまり感じられません。
現実はこんなにうまくいくばかりではないと思いますが、気ままな一人暮らしへのあこがれを満たすストーリーにはなっていました。

のんびり買い物に行ってゆっくり自分の好きなものを作り、図書館で借りた好きな本を思う存分読み、自然とふれあうなど、忙しい現代人には考えられない日常です。

何か事件が起こるわけでもなく、刺激的なこともない日常ストーリーなのですが、今の私には、まるで夢物語のように感じられました。