神様の後悔を解決する『神様の御用人6』

浅葉なつ著の『神様の御用人6』。
シリーズ第6弾となりました。

御用人の良彦と狐神のコンビが待っていました。
累計100万部突破したそうです。おめでとうと言いたいです。
シリーズ累計100万部突破!!『神様の御用人6』浅葉なつインタビュー

今回の舞台は東京。
神職につく友人の孝太郎に誘われて来たのはいいが、同窓会のため良彦は置いていかれてしまいます。

狐神の黄金はというと、甘いもの好きでスイーツ情報ばかり集めてくる始末です。
笑えます。
もちろん、東京で御用が発令されます。

なんと平将門の御用です。
一瞬、平将門って神様かと思いましたが、確かに祀られていますから神様です。
厄災を引き起こす怨霊を鎮めて神として祀る御霊信仰です。
なんだか私は平将門が神様だという認識はあまりありませんでした。

将門は、いまだに怨みを持っているようです。
そして、今回の御用が藤原の末裔を祟るというものなのです。
なんだか理不尽な御用のような気がしてしまいます。

けど話を読んでいくうちに将門には、裏切りという悲しい記憶があったのです。
胸が痛み切なくなります。

側室の裏切りですから、将門もショックが多きでしょう。
私は物語に入り込み過ぎて、いろいろ考えてしまいました。

そんな中、将門が祟っていた相手が穂乃香の兄の怜司でした。
穂乃香とはいろいろと御用を手伝ってくれていた友達なのです。
ただ問題はそれだけではありませんでした。
穂乃香と怜司の関係も複雑なものなのです。
穂乃香には、天眼という人に普通見えないものが見える才能があります。
そのせいで、イジメられて白い目で見られることがあったのです。

兄は、そんな妹の居場所を作ってあげようと、神社の家を出て距離を置いていたのです。
穂乃香は兄に嫌われていると思っています。
気持ちのすれ違いが起きているのです。

そして、なぜ、友人の孝太郎が東京に誘ったのか判明します。
怜司が穂乃香に付き纏うなと良彦に忠告するためだったのです。
これは誤解です。妹思いだということはわかりますが、ちょっとやり過ぎかもしれません。そう思えました。
良彦が御用人だと教えたところで、怜司の思いは変わらないのでしょう。
良彦も大変です。
それでも、うまく解決していかなくてはいけないのですから。

そして、新たな御用で東京から茨城県鹿島へ行くことになります。
次は、建御雷之男神の願いです。
傍には、経津主神がいます。

それなのに、建御雷之男神は世話役として人の子を連れて来いと話します。
ある言葉を発しようとすると、声が出なくなる建御雷之男神。
弱る姿を経津主には見せたくないから、世話役を新たに欲しています。
だが建御雷之男神の本心は、別なところにあるようです。
ただ不思議な縁というか連れてくるべき人の子は穂乃香の兄の怜司なのです。

途中、大国主神が登場するのですが、まるで良彦と友達みたいな振る舞いで笑えます。
神様も人と変わらないように感じてしまいます。
いつものことだが、神様が近い存在に感じられるのです。

そして、穂乃香と怜司が関係してくる今回の御用。
なんだか、この兄妹の話は切なさを感じさせます
お互いの思いが伝わればいいのにと祈ってしまいます。

もしかしたら、穂乃香と怜司の関係性と建御雷之男神と経津主神の関係性は似たようなものなのかもとふと思ってしまいました。
そして、話は福岡へ変わります。

宗像三女神の話です。
長女・田心姫神、二女・市杵嶋姫、末女・湍津姫神。

この宗像三女神については、古事記と日本書紀で違うのです。
女人禁制の神域となる島に祀られています。
だが古代では、巫女が来ていたと言います。
その痕跡を探すということが今回の御用です。
つまり、物的証拠をみつけなければいけないのです。

そこで最後の巫女となったサナという存在が話に出てきます。
宗像三女神には、記憶に深く残る巫女でした。
サナの話は、胸が痛くなるくらい切ないものです。少しウルッときてしまいます。

良彦とは別に、博物館に勤務する綾子の話が並行して語られます。
長屋王に関わる古文書を持ち福岡の地に来ます。
読んでいて思ったのですが、綾子の持つ古文書と巫女が関わりありそうな気がしてなりませんでした。
この話は、宗像三女神とサナの思いを考えると、切なさが込み上げてきます。

それこそ涙です。
けど、温かい気持ちにもさせてくれました。

毎回思うことですが、神様も身近に感じられる物語です。
ここに登場する神様たちは、すごく人間味あります。きっとそのせいで身近に感じるのでしょう。
これを読むと神社に参拝しに行きたくなります。歴史書も気になってきます。
興味が湧いてくる物語っていいです。
続編もまだあるようですので、楽しみに待ちたいと思っています。