これからの「正義」の話をしようを読んでみての感想

マイケル・サンデルの著書、これからの「正義」の話をしようを読みました。
ハーバード白熱教室で有名なサンデル教授です

メディアでも一時期とりあげられた有名な本。興味はあったのですがなかなか読む機会がありませんでした。すでに文庫本も出版され安くで手に入ったので購入し読んでみました。

本書はまずトロッコ問題といった例題を使った思考実験的な内容からスタートします。

トロッコ問題とはブレーキが壊れたトロッコが走っていてこのままだと線路上の5人の人間を引き殺してしまう。しかし自分が目の前の線路の切り替えレバーを引けばトロッコの進行方向がかわり5人は助かります。そして切り替わった線路の先にいる1人の人間が死んでしまうという内容です。この状況の中、あなたは5人を助けるために1人を殺すか否か。そしてなぜどういう理由でその選択をしたか。

この議論をしていく中で正義というものの捉え方をこの本は解説していきます。

本書はこのトロッコ問題以外にもさまざまな例題が出ますが、トロッコ問題を含めどれが正解とはしていません。あくまでそれぞれの見解の立場から議論を深め、正義とは何かという哲学的な話をしていきます。

哲学というと難しいイメージがありますが、このように例題を出しながら話が進んでいくので個人的には読みやすく、いろんなことを考えさせられる良書でした。

私が特に印象に残った部分は平等とはなにかという話でした。本書にて、ある哲学者は平等とはその物の性質を最もよく発揮できる状態だという旨の内容がありました。

本書には載っていませんが例を挙げると、お金持ちでお腹いっぱいの人と、貧しくて今日食べるものもない子供に同じ数のパンを無償で配るのは数的は平等かもしれませんが、気持ちとしては平等とは私は思えません。この場合は貧しい子供にパンをあげることが大切と考えます。なぜならパンは本来、食べ物であり栄養になるという性質をもっているからです。つまりパンの性質を最大限に活かせるのは、貧しい子供にパンをあげるという選択です。そしてこれが平等な選択だということです。

正義や平等という言葉はわかっているようでつきつめると何かうまく説明できないものです。しかし私は本書を読むことで少なくとも私自身の思う正義や平等を持つことができたので非常に有意義な読書となりました。