世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

不穏なワンダーランドで暮らすことになった主人公が、最初はそのパラレルワールドのような世界から脱出しようとするものの日々の生活に徐々に慣れていき、次第にそこから抜け出す気持ちを失い永遠にその世界に留まってしまうという話で面白かったです。
ワンダーランドの独特のファンシーな雰囲気も素敵でしたが、「僕」と語る主人公の「影」というワンダーランドに入るときに切り離された自分の影が、ここから脱出してまた一つになろうと僕を救おうとする展開にハラハラしました。
結局、僕は「ここに残る」と言い、自分の影と永遠に分かれてワンダーランドに永住してしまったのですが、私は「影」とは「僕」の理性のようなものだと思いました。
どんなめちゃくちゃな世界でも、「影」という理性は正しい道を見つけて「僕」を正しい世界に導いてくれるもので、「影」という自分の理性と離れると夢遊病のようにパラレルワールドを彷徨ってしまうのではないかと思いました。
一見、ファンタジーのような世界観の話のようでそれも魅力でしたが、どんな環境に置かれても日常に慣れてしまし、めちゃくちゃな環境に染まってしまうのではなく、自分の理性を強く持って正しい道を進んで行くことが大切だというような深いメッセージが感じられました。