不思議な雰囲気の夜のピクニック(作:恩田陸)

恩田陸の作品が好きで様々なものを読んできました。
恩田陸と言えば、「六番目の小夜子」をはじめとするミステリー小説で有名ですが、この作品は恩田陸の作品の中では特異なものを感じます。

不思議な雰囲気、世界観を醸し出している恩田陸の作品は、本を読むのが苦手な方からすると、なかなか読みにくいと思います。
しかしこの「夜のピクニック」は高校生の女の子を主人公とした、恩田陸としては珍しい青春ストーリーなのです。

内容としては、主人公の甲田貴子が、学校行事である歩行祭で80kmをクラスメイトと一緒に歩くというものです。普通青春ストーリーと言えば恋愛が付きものだったりして、当然恋愛要素が含まれるのではと誰もが思うでしょう。

しかしここに恩田陸らしさが出ていて、もちろん主人公の気になる男の子も出るのですが、この「気になる」の部分に恋愛要素が含まれていないのです。
主人公の貴子も変わった価値観をもった女の子で、人の面白い思考を垣間見ることができます。

この作品は2006年に映画化もしております。
キャッチコピーは「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」。
私は映画は見ておりませんが、やはり映画化しただけあって、恩田陸の作品としてとても読みやすくなっています。
他の作品ももちろん面白いので、まずはこの「夜のピクニック」から読んでみてはいいかがでしょうか。読んだ後はまるで自分も80km歩いたかのような清々しい気分になると思いますよ。